持ち家があると、自己破産は管財事件になって費用が高くつく。そう聞いて、申立てをためらっている方がいます。実際には、裁判所は「住宅ローンの残りが、家の値段の何倍あるか」を見て判断しています。東京地方裁判所と千葉地方裁判所が公表している基準をもとに、何が分かれ目になるのか、家の値段をどう示すのかを説明します。当社は、その家の値段を示す査定書の作成と、任意売却などの売却の実務を担う不動産会社です。
まず、ご自身の状況を選んでください
いま、どれに近いですか
家を売っても、ローンを返しきれない状態です。裁判所の「1.5倍」の基準を見る
何倍かの計算は、家の値段しだいで変わります。家の値段の示し方を見る
家に財産としての価値が残っている状態です。同時廃止と管財事件の違いを見る
進める順番を先に確認してください。進める順番を見る
このページは、裁判所が公表している基準を説明するものです。あなたの事件が同時廃止になるか管財事件になるかを判断するのは裁判所であり、見通しを立てるのは申立てを依頼する弁護士です。当社は法律事務所ではないため、その判断はできません。
01
「同時廃止」と「管財事件」、何が違うのか
冒頭で「3. ローンは完済している、または残りが少ない」を選んだ方は、まずここをお読みください。
自己破産の手続には、大きく分けて2つの進み方があります。
| 同時廃止 | 管財事件 | |
|---|---|---|
| 破産管財人 | 選ばれない | 裁判所が選ぶ(弁護士) |
| 財産の扱い | お金に換える手続を行わない | 管財人が財産を調べ、お金に換えて債権者に配る |
| 費用 | 比較的少ない | 管財人の費用として予納金が必要 |
| 期間 | 比較的短い | 長くなる |
管財事件になると、予納金の負担が加わります。金額は裁判所と、弁護士が代理人についているかどうかで変わります。東京地方裁判所の運用について、東京司法書士会は2025年5月の会長声明で、代理人(弁護士)を選任した場合の少額管財の予納金は一律20万円、本人申立ての場合は一律50万円以上になっていると指摘しています。これは裁判所の公式資料ではなく、司法書士会がこの運用を問題として取り上げた声明です。正確な金額と現在の運用は、申立てを依頼する弁護士にご確認ください。
家に財産としての価値が残っている場合、つまり住宅ローンを完済している、あるいは残りが少ない場合は、その家を管財人がお金に換えて債権者に配る必要があるため、管財事件として扱われることが多くなります。最終的にどちらになるかは、ほかの財産や事情も含めて裁判所が判断します。
02
裁判所は「1.5倍」で見ている
冒頭で「1. 住宅ローンの残りが、家の値段よりかなり多い」を選んだ方は、まずここをお読みください。
家を持っていても、その家に住宅ローンが多く残っていれば、売っても手元にお金は残りません。住宅ローンを貸した金融機関が、抵当権にもとづいて先に回収するからです。そういう家は、破産手続のうえでは「お金に換えても、ほかの債権者に配るお金が出ない財産」として扱われます。
その線をどこで引くかについて、東京地方裁判所と千葉地方裁判所は、次のように公表しています。
| 東京地方裁判所 | 千葉地方裁判所 | |
|---|---|---|
| 公表されている基準 | 被担保債権額が不動産処分価格の1.5倍未満の場合は、原則として管財事件 | 残債務額が時価の1.5倍以上ある場合に、オーバーローンと認める |
| 比べるもの | 住宅ローンなどの残高と、家を処分した場合の価格 | 住宅ローンなどの残高と、家の時価 |
| 家の値段を示す資料 | 公表ページには記載がありません(申立てを担当する弁護士の指示によります) | 通常は固定資産評価証明書。実勢価格が固定資産評価より高い地域では、複数業者の査定書の平均額 |
| 扱う地域 | 東京23区にお住まいの方(本庁の民事第20部) | 千葉県内にお住まいの方(本庁または支部) |
出典は、東京地方裁判所民事第20部のよくある質問(Q3「管財事件と同時廃止事件のどちらになるかは、どのように決まりますか」)と、千葉地方裁判所の破産手続開始・免責許可申立書(代理人申立用)に付いているオーバーローン上申書の注記です。
公表されている基準を理解するための計算例を2つ挙げます。個別の事件の結論を示すものではありません。
住宅ローンの残り3,000万円、家の値段1,800万円。3,000÷1,800で約1.67倍です。東京地方裁判所が挙げる「1.5倍未満」には当たりません。家の基準だけを見れば、管財事件の例には入らないということです。
住宅ローンの残り2,500万円、家の値段1,800万円。2,500÷1,800で約1.39倍です。東京地方裁判所が「原則として管財事件」とする「1.5倍未満」に当たります。家を売れば、ローンを返したうえで債権者に配るお金が残る見込みがある、という考え方です。
・33万円以上の現金がある場合
・20万円以上の換価対象資産がある場合(預貯金、保険の解約返戻金、未払報酬・賃金など)
・資産の調査が必要な場合
・法人の場合
・法人の代表者、または個人事業者の場合
・免責の調査を経ることが相当な場合
家が1.5倍以上でも、たとえば個人事業をしている方は、それだけで管財事件になりえます。ご自身がどれに当たるかは、申立てを依頼する弁護士が判断します。
家がいくらで売れるかが分からないと、何倍かは計算できません。弁護士に相談する前に家の値段が分かっていれば、話が具体的になります。
家の値段を確認する03
家の値段は、どう示すのか
冒頭で「2. ローンの残りと家の値段が近い。家の値段が分からない」を選んだ方は、まずここをお読みください。
1.5倍の計算で、分母になるのが家の値段です。ここが最も誤解されやすいところです。
固定資産税の評価額は、実際に売れる値段(実勢価格)とは一致しません。固定資産評価額は税を計算するための価格で、実勢価格より低いことがよくあります。千葉地方裁判所の書式が、実勢価格が固定資産評価より高い地域に限って査定書を求めているのは、このためです。
つまり、固定資産評価額で計算すると1.5倍以上に見えても、実際の売値で計算すると1.5倍を下回るということが起こりえます。不動産価格が上がっている地域では、とくに注意が必要です。たとえば令和8年の地価公示では、千葉県内の住宅地の平均価格は、船橋市で前年比4.7%、千葉市で5.8%上がっています(千葉県・令和8年地価公示 市区町村別平均価格)。
査定書を何社分用意するかは、裁判所によって扱いが違います。東京地方裁判所の公表ページには、社数の定めは書かれていません。千葉地方裁判所の書式は「複数業者の査定書の平均額」としています。何社分が必要かは、申立てを担当する弁護士の指示に従ってください。
夫婦の共有名義で、家全体に住宅ローンの抵当権が付いている場合、千葉地方裁判所の書式は、自分の持分だけでなく、不動産全体の評価額と被担保債権額を書くよう求めています。
当社は、近隣の取引事例など、価格の根拠を示して査定書を作成します。「1.5倍を超えるように、低めに書いてほしい」というご依頼はお受けできません。根拠のない低い査定は、破産管財人や裁判所から根拠を問われるうえ、申立てそのものの信用を損ないます。高く出るか低く出るかは、物件と相場で決まります。その結果をもとに、弁護士が手続の見通しを立てます。
当社の査定書は、不動産の時価についての当社の見立てを示すものです。同時廃止になるか管財事件になるかといった手続上の判断は、裁判所と弁護士が行います。
04
同時廃止になっても、家に住み続けられるわけではない
ここは、よく誤解されるところなので、はっきり書きます。
自己破産をしても、住宅ローンの抵当権は消えません。ローンの返済が止まれば、金融機関は抵当権にもとづいて競売を申し立てるか、任意売却に応じて回収します。同時廃止は「破産管財人が家を売らない」という意味にすぎず、家を持ち続けられるという意味ではありません。
家を手放すことになる場合、方法は主に2つです。裁判所が売る競売と、金融機関の同意を得て市場で売る任意売却です。任意売却は、売却の時期や引越しの段取りを、買主や金融機関と調整しやすいのが特徴です。一方で、任意売却をしても、売却代金で返しきれなかった住宅ローンが自動的に減額されるわけではありません。自己破産をする場合は、その残りも含めて破産の手続で扱いが決まります。自己破産をしない場合は、残った額の返済方法を債権者と協議することになります。
住宅ローンに連帯保証人や連帯債務者がいる場合は、特に注意が必要です。ご本人が自己破産をしても、連帯保証人の義務は消えません。売却後に残った債務は、その方に請求されます(民法446条1項)。親や配偶者が連帯保証人になっている場合は、申立ての前に弁護士へ伝えてください。
家を残したい場合には、個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)という別の手続があります。自己破産と個人再生のどちらを選ぶかは、収入や債務の状況によって変わる、弁護士の判断の領域です。
なお、破産の申立て前に家を売る場合は、売却の価格や代金の使い道が、あとから破産管財人に確認されます。著しく安い価格で売った場合などは、破産法161条にもとづいて売却が否認されることがあります。売る前に弁護士へご相談ください。詳しくは自己破産前の不動産売却と、固定資産税を滞納して家を差し押さえられたらで説明しています。
任意売却で、いつ、いくらで売れそうか。まず見込みをお出しします。
売却の見込みを相談する05
当社ができること、できないこと
当社ができること
- 近隣の取引事例など、価格の根拠を添えた査定書の作成(破産の申立てに添付する資料として使うことを想定して作成します)
- 査定書の内容について、申立てを担当する弁護士からのお問い合わせへの対応
- 金融機関の同意を得て売る任意売却の実務(売買条件の調整、決済の段取り)
- 破産管財人が選ばれた場合、管財人からのご依頼による売却への協力
- 買い手が見つからない場合の、当社による買取の検討(価格は、一般の買主を探す場合より低くなるのが通常です)
当社ができないこと
- 同時廃止になるか管財事件になるかの判断や、その見通しの説明
- 自己破産や個人再生をすべきかどうかの判断、法律相談
- 申立ての都合に合わせた査定額の調整
- 住宅ローンの返済条件そのものについて、金融機関と代理で交渉すること
当社は不動産会社であり、法律事務所ではありません。当社がお引き受けするのは、不動産がいくらで売れるかを示すことと、実際に売ることです。なお、裁判所から選任された破産管財人・相続財産清算人の先生の案件についても、不動産の調査・売却に対応しています。
06
よくあるご質問
査定書は何社分必要ですか
固定資産評価証明書だけではだめですか
査定書の作成に費用はかかりますか
1.5倍を超えるように、査定額を低くしてもらえますか
同時廃止になれば、家に住み続けられますか
夫婦の共有名義の家です
まだ弁護士に相談していません。先に査定だけ頼めますか
07
進める順番
冒頭で「4. まだ弁護士に相談していない」を選んだ方は、まずここをお読みください。
弁護士に相談する。家を持っていること、住宅ローンの残高、名義(単独か共有か)、連帯保証人がいるかどうかを伝えます。
書類を集める。登記事項証明書、住宅ローンの残高証明書、固定資産評価証明書が基本になります。
弁護士の指示にもとづいて、査定書を用意する。何社分が必要か、いつ時点の価格が必要かは、弁護士が裁判所の運用をふまえて判断します。当社にご依頼いただけます。
弁護士が申立書を作成し、裁判所へ申し立てる。同時廃止になるか管財事件になるかは、裁判所が判断します。
お問い合わせの際に、物件の所在地と、住宅ローンの残高のおおよその額をお知らせいただけると、確認がはやく進みます。作成から時間が経った査定書で足りるかどうかは、申立てを担当する弁護士にご確認ください。
ご相談をお受けする会社について
株式会社サブミット
東京都知事(1)第114346号
宅地建物取引士 / 競売不動産取扱主任者試験合格
弁護士から選任された相続財産清算人・破産管財人の案件における、不動産の調査・売却に対応しています。代表は前職から現在にかけて、この分野の実務を担当しています
当社は法律事務所ではなく不動産会社です。法的な判断が必要な内容は、弁護士等の専門家にご相談ください。
まずは、状況をお聞かせください。
しつこい営業は行いません。秘密厳守でお伺いします。