固定資産税を滞納すると、市区町村は督促状を出し、それでも納付がないときは家や土地を差し押さえます。差押えの登記が入った家は、そのままでは買主が見つかりません。売りたくても売れず、その間も延滞金は増え続けます。ここでは、いま何が起きているのか、家を売って清算するには何をすればよいのかを、順を追って説明します。
まず、ご自身の状況を選んでください
いま、どの通知が届いていますか
納期限を過ぎると、市区町村は20日以内に督促状を出します。まだ差押えは行われていない段階です。差押えまでの流れを見る
法律上の制度ではなく、差押えの前に市区町村が実務として出す通知です。財産の調査はすでに始まっていると考えてください。売って清算する手順を見る
登記事項証明書の権利部(甲区)に「差押」と記載されます。住み続けることはできますが、通常の方法では売れません。差押えが入った家は売れるのか
市区町村が売却の準備に入った段階です。残された時間が短いため、日程の確認を先に行ってください。公売と、自分で売ることの違い
なお、固定資産税のほかにも返せない借入がある場合は、上のどれに当てはまるかにかかわらず、売ったあとに残るお金の話を先にお読みください。順序を間違えると、選べる方法が狭まることがあります。
01
滞納から差押えまでに、何が起きるか
冒頭で「1. 督促状が届いた」を選んだ方は、まずここをお読みください。
固定資産税の滞納処分は、地方税法という法律に手順が定められています。「ある日突然」ではなく、決められた順番で進みます。
| 段階 | そのとき、家はどうなるか |
|---|---|
| 納期限 | 通常どおり売却できます |
| 督促状 | 通常どおり売却できます |
| 差押え | 登記に「差押」が入り、そのままでは買主が見つかりません |
| 公売の準備 | 住み続けられますが、売却はさらに難しくなります |
| 公売 | 買受人が代金を納めた時点で、所有権を失います |
それぞれの根拠と時期は次のとおりです。納期限までに納付がないとき、市区町村は納期限後20日以内に督促状を発しなければなりません(地方税法371条1項。ただし特別の事情がある市町村は、条例で異なる期間を定めることができます — 同条2項)。そして督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、市区町村は財産を差し押さえなければならないと定められています(同法373条1項1号)。
条文上は「10日を経過した日まで」ですが、実際には財産の調査や催告を挟むため、その翌日に差し押さえられるとは限りません。ただし、10日を過ぎた時点で、法律上はいつ差し押さえてもよい状態になっているという点は変わりません。条文はe-Gov法令検索の地方税法で確認できます。
あわせて延滞金がかかります。割合は毎年見直され、多くの自治体では令和8年(2026年)は、納期限の翌日から1か月を経過する日までが年2.8%、それ以降は年9.1%です。100万円を1年間滞納した場合、延滞金だけで8万円を超える計算になります(端数処理を除いた概算です)。時間が経つほど、売却代金で清算できる可能性は下がっていきます。正確な割合と滞納額は、お住まいの市区町村の納税担当課でご確認ください。
02
差押えの登記が入った家は、売れるのか
冒頭で「3. 差押えの登記が入った」を選んだ方は、まずここをお読みください。
結論から書きます。売買契約を結ぶこと自体は、法律上できます。差押えは、持ち主から所有権を取り上げる手続きではないからです。しかし現実には、差押えが付いたままの家を買う人はいません。差押えが残っていると、買主は公売によってその家を失うおそれがあるためです。
そこで実務では、売買代金の中から滞納している税を全額納め、決済(代金の支払いと登記)と同時に差押えを解除してもらうという形をとります。国税徴収法79条は、納付などによって差押えの原因となった税の全額が消滅したときは、差押えを解除しなければならないと定めており、地方税の滞納処分もこの例によります(地方税法373条7項、e-Gov法令検索・国税徴収法)。つまり、完納できる金額で売れるのであれば、差押えは外れます。
なお、差し押さえた財産の価額が、滞納処分費と、税に優先する債権の合計を超える見込みがなくなったときは、市区町村は差押えを解除しなければならないとされています(国税徴収法79条1項2号。同法48条2項も、そもそも無益な差押えを禁じています)。配当の見込みがない状態が続いている場合、この点を市区町村へ確認する余地はあります。ただし、「無益な差押えだから外してほしい」と申し出て、すぐに解除されるとは限りません。市区町村が、本当に配当の見込みがないのか、ほかに差し押さえられる財産はないのかを調べたうえで判断します。解除される例もありますが、「配当の見込みがないなら差押えを続けるべきではない」という考え方が法律にある、という程度に受け止めてください。
差押えが入ったままの家が、いくらで売れるのか。金額の目安をお出しします。
状況を相談する03
差押えを解除して売るまでの手順
冒頭で「2. 差押予告書・催告書が届いた」を選んだ方は、まずここをお読みください。
滞納額を確定する。本税と延滞金の合計、どの年度分か、どこまで納付済みかを、市区町村の納税担当課で確認します。督促状に書かれた金額と現在の金額は一致しません(延滞金が増えているため)。
登記事項証明書を取り、差押えと抵当権を確認する。差押えは1件とは限りません。市区町村のほかに都道府県や年金機構の差押えが重なっていることがあります。抵当権(住宅ローンの担保)がいくら残っているかもここで確認します。
売却の見込額を出す。「税と抵当権の残りを、売却代金で清算できるか」を判断する材料になります。ここが出ないと、次に進めません。
市区町村に、売却して納付する意向を伝える。売却代金から完納するので決済と同時に差押えを解除してほしい、という相談です。この相談は、所有者ご本人が行う必要があります。当社は税の交渉を代理できません。
住宅ローンが残っている場合は、抵当権者の同意を取る。売却代金で住宅ローンを完済できないときは、任意売却になります。不動産が共有名義であれば共有者全員の同意が、連帯保証人・連帯債務者がいればその方の了解が、実務上必要になります。
決済日に、すべてを同時に行う。代金の受領、税の納付、抵当権者への配分、差押えの登記と抵当権の抹消、所有権の移転を1日でまとめます。
任意売却とは、抵当権者(金融機関や保証会社)の同意を得て抵当権を外してもらい、市場で売却する方法です。競売の開始決定を受けた後でも、任意売却で清算できる見込みが立てば、債権者が競売の申立てを取り下げる余地があります。ただし取り下げるかどうかを決めるのは債権者であって、所有者ご本人ではありません。また、入札が始まったあとは、取下げに最高価買受申出人や買受人の同意が必要になります(民事執行法76条1項)。買主を探して決済するまでには1〜2ヶ月かかるため、期間入札の通知が届く前に動き出す必要があります。入札が始まってから止めるのは、実務上かなり難しくなります。
納付のめどが立たないまま時間だけが過ぎている場合、地方税法には徴収猶予・換価の猶予という制度があります。申請できる期限は自治体の条例で定められており、たとえば東京都は換価の猶予を都税の納期限から3か月以内としています(東京都主税局・納税が困難な方に対する猶予制度について)。申請はご本人が行うものです。制度の適用可否は市区町村の判断になります。
04
公売と、自分で売ること。何が違うのか
冒頭で「4. 公売の予告が届いた」を選んだ方は、まずここをお読みください。
| 公売(市区町村が売る) | 自分で売る | |
|---|---|---|
| 売る人 | 市区町村 | 所有者ご本人 |
| 価格の決まり方 | 市区町村が決めた見積価額をもとに、入札などで決まる | 買主との合意で決まる |
| 時期 | 市区町村が決める | 相手と調整できる |
| 引渡し・引越し | 買受人が代金を納めた後に明渡しを求められる | 決済日を調整できる |
| 売っても足りなかったとき | どちらの場合も、納めきれなかった税は残ります | |
公売でも、代金は税の納付に充てられます。違いは、売る時期と条件を自分で選べるかどうかです。公売になると物件の所在地などが公告され、買主が室内を見られないまま入札することも多くなります。自分で売る場合は、決済日、引越しの時期、家財をどうするかを相手と話し合って決められます。
05
売ったあとに、お金はどう残るのか
最初に確認すべきなのは、そもそも完済できるかどうかです。滞納が続いていると「どうせ足りない」と思い込みがちですが、査定してみると税も住宅ローンも清算でき、手元にいくらか残った、というケースは実際にあります。相場が上がっていた、残債が思っていたより減っていた、といった理由です。ただし、すべての方がこれに当てはまるわけではありません。数字を出してみるまでは、どちらとも言えません。完済できるなら、それは任意売却ではなく通常の売買です。債権者との協議も要らず、話は大きく簡単になります。
まず数字を出す。完済できるか、足りないか。この判断をしないまま次の話に進んでも意味がありません。
そのうえで、足りなかった場合の話をします。まず税について。家を売っても、納めきれなかった税が消えることはありません。売却代金から納付した分だけ滞納額が減り、足りなければ残りは滞納として残ります。
住宅ローンが残っている場合も同じです。売却代金で返しきれなかった住宅ローンは、原則としてそのまま債務として残ります。任意売却をしたからといって、残った債務が自動的に減額されるわけではありません。売却後は、残った額をどのように返していくかを債権者と協議することになります。協議の結果として毎月の返済額が変わることはありますが、それは返済方法が変わるということであり、債務の金額が減ることとは別の話です。
残った債務を負うのは、名義人だけとは限りません。住宅ローンに連帯保証人や連帯債務者がいる場合、売却後に残った債務は、その方にも請求されます(民法446条1項・436条)。夫婦で連帯債務にしている、親が連帯保証人になっている、というケースは珍しくありません。ご本人が知らないまま手続きが進み、あとから親や元配偶者に一括請求が届く、というのが最も避けたい形です。連帯保証人がいるかどうかは、住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約証書)で確認できます。
「売れば全部片づく」と説明されることがありますが、そうではありません。売却でできるのは、差押えを外し、返済や納付に充てられる金額を確定させ、そこから先の話に進めるようにすることです。そのうえで、返しきれない分をどう扱うか(分割で納めるのか、法的な整理を検討するのか)は、市区町村や債権者との協議、あるいは弁護士の判断の領域になります。
期限の来た固定資産税を納めること自体は、義務にもとづく支払いであり、それだけで問題になるものではありません。問題になりやすいのは、価格が不相当に安いとき、売却代金の使い道が説明できないとき、一部の債権者にだけ支払ったときです。売る順序と代金の使い道によって結論が変わるため、破産を検討しているなら、売却の手続きに入る前に弁護士へご相談ください。当社は、破産すべきかどうかを判断できません。弁護士に依頼したあとであれば、当社は先生と連携して不動産の調査・売却を進められます。
自己破産を検討している段階の方は、自己破産前の不動産売却についてもあわせてご覧ください。
いくらで売れて、いくら残るのか。数字にしないと判断できません。
売却見込額を相談する06
費用は、誰がいくら払うのか
お金がないから滞納している、というのが出発点です。費用の話を先にします。
- 差押えの解除そのものに手数料はかかりません。ただし、解除の条件は滞納分の完納です(分割納付中の解除など、市区町村の判断による場合を除きます)。
- 登記の費用がかかります。抵当権の抹消、差押えの登記の抹消、所有権の移転にかかる登録免許税と、司法書士への報酬です。通常は決済のときに売買代金から支払います。
- 仲介手数料がかかります。当社が買主を探してお売りする場合、宅地建物取引業法にもとづく上限の範囲で仲介手数料を申し受けます(売買代金が400万円を超える場合、代金の3%+6万円+消費税が上限)。金額は媒介契約を結ぶ前にお示しします。
- 買い手が見つからないときは、当社が直接買い取ることもあります。その場合は媒介ではないため仲介手数料は発生しませんが、当社が直接買い取る価格は、時間をかけて一般の買主を探す場合より低くなるのが通常です。手数料の有無ではなく、最終的に手元に残る額と、いつまでに決済できるかで比べてください。両方の見込額をお出しします。
- 任意売却では、これらを売却代金の中から配分できないか、抵当権者との間で調整することになります。当社がお手伝いするのは、売買条件の調整と、配分案・査定資料の作成です。債務の返済条件そのものの交渉を、当社が代理することはできません。認められるかどうかは債権者の判断です。ご自身での持ち出しが必要になる場合は、契約前に金額をお示しします。
引越し費用についても同じです。売却代金から配分してもらえないか、ご本人から債権者へ相談していただくことになります。当社は配分案の作成をお手伝いします。認められるかどうかは債権者の判断です。公売では原則として配分されません。「引越し費用が出ます」と先にお約束することはできません。
07
当社ができること、できないこと
当社ができること
- 差押えや抵当権が付いたままの状態で、その不動産がいくらで売れるかを調べ、金額をお出しすること
- 買主を探して売却すること(媒介)。完済できる見込みであれば、通常の売買として進めます
- 抵当権者との任意売却における売買条件の調整、決済日の調整
- 決済で税を完納し、差押えの解除と登記の抹消、所有権移転を同じ日に行う段取り
- 売却の見込額を、市区町村や債権者へ説明するための資料としてまとめること(市区町村や債権者へ実際にお伝えするのは、ご本人の同意をいただいたうえで、必要な範囲に限ります)
- 買い手が見つからない場合に、当社が直接買主となって現況のまま買い取ること(家財が残っている、増築部分が未登記といった事情を含めて検討します)
当社ができないこと
- 税の減免・猶予・分割納付について、市区町村と代理で交渉すること、および税務の相談に応じること
- 債務の返済条件そのものを、債権者と代理で交渉すること
- 自己破産や債務整理をすべきかどうかの判断、法律相談
- 差押えを解除できるとお約束すること(解除するかどうかを判断するのは市区町村です)
- 引越し費用や残る債務の扱いについて、事前にお約束すること
当社は不動産会社であり、法律事務所でも税理士事務所でもありません。税の手続きや債務整理の判断が必要な場合は、市区町村の納税担当課、弁護士、税理士にご相談ください。当社がお引き受けするのは、不動産をいくらで、どのように売るかという部分です。なお、裁判所から選任された破産管財人・相続財産清算人の先生の案件についても、不動産の調査・売却に対応しています。
対応できる地域
どこの不動産まで対応できるのか
全国どちらの不動産でも、ご相談はお受けします。そのうえで正直にお伝えすると、不動産の売却では現地を見て、内覧に立ち会い、決済の場に出る必要があるため、物件の場所によって、当社ができることの形が変わります。
当社は東京都墨田区(JR錦糸町駅)に事務所があります。下の表は、事務所から比較的ご相談の多い地域までの移動時間の目安です。
| 地域 | 錦糸町駅からの移動 |
|---|---|
| 東京23区 | 当社は墨田区に事務所があります。隣接する江東区・台東区・江戸川区・葛飾区などへは短時間で伺えます |
| 船橋市・市川市など | 船橋駅までJR総武線快速で16分(乗換なし、18.4km) |
| 千葉市 | 千葉駅までJR総武線快速で33分(乗換なし、34.4km) |
| 上記以外の地域 | ご相談はお受けします。物件の場所に合わせた進め方をご提案します(下記) |
近い地域であれば、現地の確認から内覧の立会い、決済の場まで当社が直接動けます。遠方の場合は、その地域の不動産会社に協力を依頼して進めるか、当社が直接買い取る形をご提案するかのいずれかになります。前者は買主を探す範囲が広がる一方で、協力先を個別に探すため着手までに時間がかかることがあります。後者は買主を探す必要がないぶん期間の見通しが立てやすい一方で、価格は一般の買主を探す場合より低くなるのが通常です。
どの形が向いているかは、物件の場所と、いつまでに決着させる必要があるかで変わります。お問い合わせの際に物件の所在地をお知らせいただければ、その地域で当社に何ができるかを最初にお伝えします。
移動時間・運賃はJR総武線快速を利用した場合の目安です(2026年9月時点)。宅地建物取引業の免許に、取り扱える地域の制限はありません。ここに書いているのは、実務として現地に足を運べるかどうかの話です。
08
よくあるご質問
差し押さえられた家に、まだ住んでいてもいいのですか
差押えが入っていても、売買契約はできますか
住宅ローンも滞納しています。税と、どちらが先に動きますか
相続した実家の固定資産税を滞納しています
公売の予告が来ました。もう間に合いませんか
売ったら、かえって損をすることはありませんか
相談は無料ですか。会社は何で収益を得ているのですか
09
次に取る行動は、3つです
納税の窓口に、今日の滞納額を聞く。本税と延滞金の合計、対象の年度、公売の予定の有無を確認します。連絡を取ること自体が、状況を悪くすることはありません。東京23区にある不動産は、区役所ではなく都税事務所が窓口です。23区の固定資産税は、区ではなく東京都が課税・徴収します(地方税法734条1項)。
登記事項証明書を取る。法務局の窓口かオンラインで取得できます。差押えが何件入っているか、抵当権がいくら残っているかを確認します。
売却の見込額を出す。1と2の数字が揃うと、売って清算できるのか、足りないのかが判断できます。当社にご相談いただければ、この見込額をお出しします。
自己破産や個人再生を考えている場合は、この3つより先に弁護士へご相談ください。売却と納付を先に進めてしまうと、あとから弁護士が取れる方法が狭まることがあります。お問い合わせの際に、届いている通知の名称(督促状・差押予告書・公売の予告など)と、物件の所在地をお知らせいただけると、確認がはやく進みます。手元に書類がなくても構いません。
ご相談をお受けする会社について
株式会社サブミット
東京都知事(1)第114346号
宅地建物取引士 / 競売不動産取扱主任者試験合格
弁護士から選任された相続財産清算人・破産管財人の案件における、不動産の調査・売却に対応しています。代表は前職から現在にかけて、この分野の実務を担当しています
当社は法律事務所ではなく不動産会社です。法的な判断が必要な内容は、弁護士等の専門家にご相談ください。
まずは、状況をお聞かせください。
しつこい営業は行いません。秘密厳守でお伺いします。